鬼気迫る人間観察 : 『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』
- 作者: 借金玉
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/05/25
- メディア: 単行本
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こないだ読んだ エンジニア組織論への招待 *1に出てきた、
人間にとって、本質的に「わからないこと」はたった2つしかありません。それは、「未来」と「他人」です。
というフレーズが気に入ってます。エンジニアのように、いつもコンピュータと向き合っているような人種においても、結局「他人」が問題になるわけです。
健常者にですら本質的に「他人」は「わからない」ものなので、(ADHDなどの)発達障害を抱えている方にとっての「他人」は、言うに及ばず不可解なものだろうと思います。
私は診断を受けたことがないので不明ですが、おそらく健常者と思われます。それでも「〇〇さんの考えていることは手に取るようにわかる」と思うことはないですし、「自分が完全に理解された」ということもないだろうと思います。(そもそも自分自身のことだって、完全に理解するのは無理ですし)
本書では、信頼の強さを「見えない通貨」、コミュニティ内の文化を「部族の掟」、そういった文化に対する下らなさ感じる能力を「茶番センサー」と呼んで可視化し、それぞれにどう対応して行くべきか、徹底的な具体性をもって説明していきます。
例えば、
といった感じ。
ワードの選択センスには社会へのシニカルで特異な感性が現れてますし、その割に、最終的なtodoはオーソドックスにまとまっているのがおもしろい。私は、これらの二面性の両方ともに、果てしなく共感してしまいます。「茶番センサー」、なかなか切れませんw でも切らないとww
理想は、怜悧に茶番を茶番と認識しながらも、同時にその茶番に向かって全力で突撃していけるマインドセットです。世界は茶番です。無意味でくだらないクソです。でも、勝ちたかったら全力出すしかないわけですよ。
名分ですね。どこかの碑に刻みたい。
筆者の借金玉氏はADHDを抱えているとのことですが、人間の行動に対する観察眼は鬼気迫るものがあります。もしかしたら他人の「内面」を想像することにハンデキャップを抱えているからこそ、「外面」として現れる行動というものに対して、感覚を尖らしているのかもしれないです。
そもそも他人は本質的にわからないものなので、内面ではなく外面を観察するという態度は、正しいように思いますね。
部族回りの論旨は、こちらの記事を読むとダイジェストで読めます。絵も含めてホントに名作でした。
*1:こちらも内容整理しないと忘れてしまうので、後日書きます (>_<